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外国人子弟:義務教育を義務化するしかない

最近、各日本のメディアで日系人子弟の未就学・不就学問題が取り上がられているが、その社会的背景や親の過った思惑と情報不足、そしてこの問題と外国人青少年犯罪の関連性も指摘されている。中南米諸国では、日本人移民は勤勉で、まじめで、努力化であるというイメージが定着しているが、出稼ぎ者として来日し定着しつつあるその子孫である日系二世・三世、そしてその配偶者や子弟達はなにゆえこのような問題を抱えてしまっているのか疑問を抱く者も多いようである。また、義務教育である小中学校に通っていない日系人子弟が多い(主にブラジル国籍の児童と少年)という実態を改善するには、義務教育の義務化を適用すればそれで済むのではないかと指摘するものもいるが、これがそう簡単な問題ではないのである。戦後、在日韓国・朝鮮人、中国人にもこの日本の義務教育というのが適用されていたが、冷戦の経緯や当時の政治の思惑などによって彼らの義務化は強制されず、独自の民族教育を尊重する方針をとった。今でも「各種学校」という枠組みの中で運営されている学校が多数存在するが、財政難と質の低下で実際こうした学校に通っている者は全就学生の一割超で、その他はここ数十年の間に日本の学校に通い、日本の制度の中で教育を受け、高等教育を目指し社会進出を達成して来たのである。

民族的なアイデンティティーを維持するということも重要な要素ではあるが、「母語」というのは一つであって、その母語をきちんと勉強せずにバイリンガルだとか、多言語だという教育はほとんど不可能である。日本が生活拠点である以上やはり日本語を母語にするしかなく、そこから自国の言語、日系人子弟の場合はスペイン語やポルトガル語をマスターするという子は十分に可能であろうが、どちらも中途半端である場合は、日本に留まっても本国に戻ってもまったく機能しない教育になってしまい、制度から疎外され、孤立し、いかなる社会にも適用しなくなるのである。

こうした現象が日本でも不登校、不就学というマイナス要素として彼たちの言動にも現れており、結果的に彼たちの被害者妄想だけが助長され社会を憎み、劣等感だけが残っているように思える。日常の最低限のコミュニケーションは何とか出来ても、職場や社会での常識やしきたりはあまり理解しておらず、文書を読めないだけではなく、話し言葉もきちんと把握できないのが現状である。勝手に誤解することも多く、自ら社会から孤立している側面も否定できない。そして中には麻薬や他の犯罪に手を染めていく者もでてきている。少年事件を担当している家庭裁判所の調査官たちは、いつもこうした事案では「通訳を付けてもコミュニケーションがはかれない」と指摘する。

ブラジル人やペルー人子弟向けのコミュニティー学校(一種の民族学校)も各地で開校されているが、そしてその一部では本国の教育行政の認定を受けているにもかかわらず、正規の教育水準には到底及ばず、本国へ戻ったケースでこうした教育をきちんと活用している子弟は数えるぐらいしかいない。殆どは、青少年犯罪防止策の収容施設又は保育施設と化しており、労働条件が非常に悪いにもかかわらず教員やボランティアの信念と努力に頼りきっているという部分が大きい。

日本国は義務教育制度を維持するために年間一人当たり15万円相当を負担しており、国家予算の7%、5兆円以上の金額を1千100万人の小中学校の生徒のために投入しているが、ブラジル人やペルー人の義務教育年齢者数はおよそ3万5千人でしかない。そのために独自の「制度」を設けると言うことは殆ど不可能で非現実的である。

米国には3千5百万人のヒスパニック人口が存在しているが、それでもバイリンガル学校として比較的成功しているのはフロリダ州に居住しているキューバ人コミュニティーの学校ぐらいでその他はあまり大した結果を出していない。逆に人数も多いと言うことで正規の米学校の中でスペイン語教育を入れているところはかなりあるようだが、それはその地域性や地域共存のためであって、義務教育はアメリカの学校で受けているのである。

ブラジル人子弟が増えたとはいえ、特に集住都市ではその現象は否定できないが、日本社会からみればマイノリティであり、独自の「教育制度」を別枠で構築するということは困難であると言わざるを得ない。それよりは、日本の教育制度の中で義務教育をきちんと受けさせ、義務づけた上で各地その地域性などを配慮した形でスペイン語やポルトガル語、南米諸国の文化や社会などを盛り込んだ講義や講座を日本人生徒やその保護者、教員や地域全体に普及させた方が財政的にも、政策的にも効率が良く、効果も期待されるのではないかとみれる。

スペイン語情報誌51号 2006年1月?4月号
c J. Alberto Matsumoto-IDEA NETWORK

 
 
 
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