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スペイン語情報誌「MUSASHI」 2007年01月- 04月号第54号
目次

- 日本のGDPと中南米諸国の統計で考える
- ラ米で雇用と貧困問題が多少改善
- ラ米の賃金格差は依然として高い
- 職安「ハローワーク」はもう必要ないのか
- デカセギ離れする時期が来た
- 社会保険への加入を拒む「パートタイム労働者」
- 派遣社員の社会保険とは
- なぜ不安定雇用だけが増えるのか
- 年金の重要性を理解していない日系就労者たち
- ベネズエラ・ボリバル共和国憲法を和訳したチーム
- 日本の年金受給者と年金制度
- アルゼンチンの隣国移民と多文化共生
- 第48回海外日系人大会と第14回パンアメリカン日系人大会〜ブラジル、サンパウロ市で開催
- その他イベント案内、各種相談所案内
- 目次&広告

スペイン語情報誌「MUSASHI」 2007年01月- 04月号第54号 (PDF)

「MUSASHI」のデジタル版移行のご案内

購読者及び一般読者の皆様

 この情報誌は2000年2月に創刊し、友人のスペイン人作家モンセ・ワトキンスと始めたものです。彼女はその年の11月にこの世を去り、私がその思いを今まで引き継いできましたが、印刷版は52号で打ち切り、53号からはデジタル版(PDFファイルで配信)でお届けすることになります。これまでの記事やレポート等はほぼすべて弊社のサイトにテーマ別に振り分けられて掲載されていきます。

  こうしたデジタル版の受信を希望する場合、団体・個人ともどうか下記のメールにその旨伝えていただければこちらで登録し、定期的にお届け致します(名前、所属の団体又は活動内容、国籍、電話、メール、HP(ある場合)、住所等を記載して登録願います)。

 「MUSASHI」 編集責任者 アルベルト 松本

■中南米と日本?格差の違い

  中南米からみると日本はとてつもない経済規模の大きい国である。メキシコやブラジル、そしてチリが最も日本との取引が多いが、日本から見るとこの地域全体の貿易(輸出入)は4%ぐらいにしかならない。また、日本の国民総生産GDPもブラジルやメキシコの5.5倍、アルゼンチンの22倍、チリの50倍になる。日本の輸出額約60兆円という金額だけでも中南米からみると大変な額である(同地域全体の累積債務より多い)。領土の面積から見ると確かに日本の何倍、何十倍もある国はたくさんあるが、日本の平均個人所得(約4百万円)からみても、中南米で高いメキシコやチリ(7千j台)でさえ日本の2割にも満たない(一割ぐらいは2?3国で後はそれ以下の所得水準である)。こうした事情もあって、アメリカやヨーロッパ、そして日本という先進国への移民が後を絶たないのである。

  近年の経済成長(平均4%以上)により中南米の失業問題が多少改善しているとはいえ、平均が8.6%であり(日本の倍以上)就業人口の約4割は貧困状態にある。上位一割の高所得者層がその国の富の48%(国によってはもっと多いが)を取得しており、下位一割はたったの1.6%の所得しか占めていない。専門家らによると今の貧困状態が10%程度改善するだけでも全体の成長率が1%増加し投資も5%増えると指摘しているが、公的部門の非効率、極端な格差やそれによる経済?産業構造で計り仕切れない利益を得ている業界や支配者層はそう簡単に健全な改革を認めないのが現状である。その結果、例外を除いて「制度的な改革」は中々大きな成果を出せないでいる。こうしたことも反映してか、メキシコやブラジル、アルゼンチン等では、外資や大手民間企業の幹部職員の年間給与水準は40万jを超えており(約5千万円)、安くとも3千万円を維持している。高学歴で高度な人材であるとはいえ、一般事務員の給与より20倍から30倍の格差である。

■日系就労者の雇用確保はブローカー頼り

ハローワーク(公共職業安定所)改革案の中一部民間業者にその職業紹介を同じ施設の中で行なうというパイロットプランが発表されているが、日本在住の南米出身日系就労者の殆どは以前から民間ブローカーに雇用確保を求めており、今もその状況は変わっていない。偽造請負問題が取り沙汰されているが、日系就労者は常にそうした”雇用形態”の下で就労してきたが、最近は元ブローカー(改正前の派遣法では非熟練労働の派遣は違法であった)が正規の許可を受けて派遣業務を行なっているケースも増えている。不安定雇用であっても、社会保険や労働保険、所得税等の事務的処理がきちんとされていることで多少の前進は見られる。

■何時までデカセギなのか

吉田忠雄先生がお書きになった「南米日系移民の軌跡」(人間の科学社、2006)でも指摘されていることだが、日本人移民があまりにも団結して一つの地域でその経済活動を独占又は排他的な関係を築いてしまうと結果的仕返しが来る。移民もその時代によって生き方も変わって行くが、現在日本に働きにきている日本人移民の子孫(日系人)にももうそろそろ「デカセギ」としての行動を改め、地域社会での間の共存と共生や子弟の教育等に対する自覚が求められている。彼たちが居住している集住都市では未だにゴミの分別や騒音問題で地域住民とトラブルが絶えないようである。また、以前と違って今は数ヶ月の就労でその資金ですぐに本国に帰国できると言うことも定住の自覚と意識が確かなものにならない要素とされている。日系就労者が地元の職や富を奪い取っているという指摘はほとんどないが、いつまでもこのデカセギ感覚で日本で生活することはあまり良い選択とは言いがたい。迷いはあっても、腹を決めてもらうしかない。出なければ、その他の諸問題も根本的に解決できない。

■なぜ社会保険への加入を拒むのか

  90年から入管法改正を機に大量にデカセギ就労者として日本にやってきた南米の日系人だが、当初から手取りを重視し賃金から天引(控除)の対象になる社会保険や労働保険、税金等の支払いを拒んできた(拒否ではないが、控除されない職場を好んだ)。ブラックで雇用されても構わないという意識が強く、それはブラジルやペルーではよくある状態をそのまま日本でも適用させたのである。受け入れのブローカーも当初はこうした労働力を斡旋、派遣することは許されていなかったが当局はこれを黙認し今は40万人近くの日系就労者とその家族が日本で生計を立てている。こうした背景のもと厚生年金または国民年金の保険料を払っていないものが殆どである(地域や集団にもよるが8割は未加入状態)。日本で納めても本国では受給できないと思い込んでいることや、25年間という受給資格を得ることは困難だと思っていることも影響している。

  賃金が安い中南米諸国では誰もが「手取り(salario de bolsilloというが、訳すると実際ポケットに入る給料という意味である)」を重視し、雇用主も雇用者もブラック労働市場の形成を助長している。しかし、この日系就労者の日本での滞在も長期化し、永住資格を取得しているものも増えているということは定期的に里帰りをしても本国に帰ることなくこの日本で生活を続けるという証しでもある。迷いもあって年金のことが気になっているにもかかわらず未だに加入については積極性がみられない。最近はエスニックメディアもこのことを警告しており、年金についての知識や認識を高めようとしている。

  一方状況もその背景も異なるが、不安定な雇用形態にありながらも扶養としての恩恵に甘んじている日本のパート労働者の多くも社会保険への加入を拒んでいる。制度的に例外が認められてきたパート社員たちだが、日系就労者の場合は諸制度の不備や、国や産業界の積極性があまりにも不足していたため且つ彼たちの短期(楽観)的視点と責任回避的な行動が今の状況を招いており、近い将来(15年後ぐらい)にかなりの者が無年金者になる可能性が高い。

■「アルゼンチンの隣国移民の多文化共生」 

アルゼンチンは移民の国としてそれも「多人種のるつぼ」として南ヨーロッパを始め、欧州や他地域の移民を多く導入して国づくりをしてきた国である。移民の活力とその子孫の新しいアイデンティティづくりによって「アルゼンチン特有の移民による社会」を築いてきたと言える。初期の移民構造を見る限りアメリカ合衆国やオーストラリアのケースに類似しているとも言えるが、移民政策はその国の産業構造や経済発展状況、世界との経済的・政治的依存関係の度合いにも当然影響される。そして、19世紀末から今日迄継続して人口の3%程度そして現在外国人の6割以上は隣国移民で占められており、この移民集団を「季節労働者・出稼ぎ労働者」としてしか見て来なかったアルゼンチン社会は80年代の終わりから学術的にも研究を重ねてきた結果、「多人種のるつぼ」と誇ってきたアルゼンチンはこの集団を社会の一員として迎えてきたがどこか積極性がなく、雇用情勢等が悪化する度に差別や排斥の対象になってきた。国や地域、民族等によって多文化共生という概念は当然異なるが、このキーワードによってこの移民集団を考察することも日本の多文化共生研究に参考になるに違いない。

「MUSASHI」 2007年01月- 04月号第54号
(c) J.Alberto Matsumoto-IDEA NETWORK

 
 
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