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スペイン語情報誌「MUSASHI」 2006年09月- 12月号第53号

目次

-製造業の請負や派遣労働
-労働市場の中の製造業
-日本滞在の中南米出身者:38万人
-イベロアメリカ・サミットと移民の議論
-未就学ブラジル人児童への支援
-海外からの送金の意義:問題解決vs依存度増加
-就労の機会がない中南米の若者
-学校でのイジメ問題
-イジメによる青少年の自殺
-フィリピンから看護士が来るのか?
-フィリピン出稼ぎ者&移民からの海外送金
-移民からの海外送金に最も依存している国々
-日本の妊娠中絶と避妊
-スペイン人の所得と購買力
-役立つ電話-広告/目次

スペイン語情報誌「MUSASHI」 2006年09月- 12月号第53号 (PDF)

■製造業は日本経済全体の23%を占めており、最大の経済活動分野であり約1千2百万人近くが(7割が男性)雇われている。その中に28万人の南米日系就労者が含まれている。これはこの業界雇用者の0.15%にしか当らない。確かに、地域や工業地帯によってはこうした外国人労働者のシェアが地域雇用の2割近くになっているところもあるが、国レベルで見るとあまり大きな存在ではない。とはいえ、大手自動車メーカーや電子部品会社の下請け工場、食品関係等の中小零細企業では彼たちの存在は依然として大きい(大手企業の広報は「我が社には日系就労者は雇用されていない」という)。殆どが間接雇用であり、中には疑わしい請負契約や不備の多い派遣契約のもと就労している。徐々に社会保険や労働保険への加入状況が改善されてきたとはいえ、まだ不十分と言わざるを得ない。「使い捨て労働」にならないためにも日本側の更なる意識改善も必要である。

■未就学ブラジル人日系子弟への支援:
出稼ぎとしての意識が抜けられない親とそれに翻弄されているその子弟、日本の学校での適用問題(言葉や価値観の違い、誤解や誤解によるいじめ等)等が多くのブラジル人子弟が不就学・未就学状態になっている。外国籍であるため「義務教育の義務規定」が適用されず、多くの教員や市民団体等の理解や支援を受けながらも、根本的には改善されていない。これまでも主張してきたが、日本での定住がほぼ確実になってきた以上子弟たちの教育は日本の学校で行なうのが筋であり、こうした労働力を1990年から本格的に受け入れてきた日本政府の義務でもある。親の母語はスペイン語又はポルトガル語であっても、子供たちの母語は日本語にしない限り日本での将来はない。バイリンガル教育と称する「エスニック学校」も多数存在するが、例外を除いて殆どが私塾であり、営利目的のみを追求している様子も伺える。移民の子がこの国で成長し、いずれこの社会に還元できるようにするためには日本の高等教育へアクセスできるようサポート(日本語の補習講座や親御さんへの説明会等)することである。

■中南米から欧米への移民が注目されがちだが、実は中南米内での移民も大きな課題であり、その多くが非熟練労働であるため不法移民になっていることが多い。昨年(2006年)の11月ウルグアイで開催されたイベロアメリカ・サミットではこの移民についても大きく取り上げられ、移民政策の協議や社会保障協定の締結等が議論された。スペインはマグレブ地域や南米からの移民、アルゼンチンは隣国からの移民、中米のコスタリカも周辺諸国から多くの移民がやってきている。そして、メキシコからは年間70万人が合法的・非合法的に米国へ越境を試みている。移民問題は送り出し国と受入国の都合もあるが、双方の現実的かつ効果的な施策や措置を実施しない限り諸問題はあまりにも複雑で結果期に社会の不安を煽る犯罪や社会の底辺拡大という側面だけの問題が残ってしまう危険をはらむ。

■送金は依存度を高める?:
米国にはヒスパニック系移民が4千2百万人(1千2百人の不法滞在者も含む)存在し、かなりが定着しているとはいえ、出身国に残されている家族や親族に送金している金額は450億j(5兆円相当)にも上り、一部の国では大きな外貨収入であるため、中米諸国の多くでは年間輸出額をしのぶ金額である。一方、米国のヒスパニック移民の出生率は高いのだが、多くが(約7割)中学校にも進学しておらず、6割超は年間3万jの所得にも及ばず医療保健等への加入もままらない状態だという。滞在(永住)も長期化することで送金の金額も頻度も少なくなってきている。
  送金がその国の経済発展に寄与しているか否かについては様々な見解があり、アフリカ北部や南米から多くの移民を受けれてきたスペインで行われた調査によると、その資金が子供の教育や就業年齢にある家族のスキルアップに使われているケース以外は浪費されていることが多く、一時的な不動産投資や動産購入による地域の経済活性化として以外はあまり効果が出ていないとされている。また起業しても、リターンの高い案件は少なく、投資を回収することさえ困難であると指摘している。日本に来ている南米の日系就労者も貯めた資金で本国で事業を始めたりしているが例外を除いて殆どが失敗に終わっている。ただ、不動産物件を購入して老後に備えて年金収入の足しにしている者もかなりいるとされている。

■ラテンアメリカの若年層失業率は危機的:
世界労働機構ILOの調査によれば、世界の平均失業率は8.3%であるが、15歳から24歳の若年層のは13.5%であり、中南米では16.6%という結果が出ている(ブラジルでは32%)。ここ10年失業者は増えており、現在約1千万人がそのような状態にある。また、この地域には1.600万人の若者が一日2j以下の収入しか得てなく貧困者である。が、それ以上に約1.000万人が一日1j以下で貧窮状態にある。もっと懸念されるのが、非正規労働にも付けない、スキルアップもできない若者がその数字以上に存在することである。

  いかなる方法でも海外に出て行こうとする原因がここにあるのだ。こうした若者の流出(先進国としては外国人労働者の流入)は、その国の活力となる労働力を損ねてしまうという問題だけではなく、先進国へ移民した場合その労働市場でも「ソーシャル・ダンピング」現象を起こし、既に定着している又は定着しようとしている移民の雇用環境を悪化させてしまう恐れがある。ブラック労働が拡大し、医療保健や年金への加入を怠る経営者が増えてる結果を招くことにもなる。
日本でも若年層の失業率はほぼ9%だとされており(平均の倍以上)、ドイツでは15.2%、フランスでは22.8%、イギリスでは11.8%である。同じ層でも外国人労働者になると全体的にそれ以上高くなるが、フランス、イギリス、イタリアでは地元の若者の方が高い(仕事に就こうとしない現象)。

■イジメ、イジメによる自殺と外国人子弟:
教育現場や職場でのイジメはいかなる国でも少なからず存在するが、どうも先進国での方が深刻のようである。南米諸国でもおおらかなスペインでも問題になっており、後者では最近イジメによる自殺者も報告されている。ただ、この国ではイジメの24%が被害者の仲間によって止められれいると言う報告もある。日本よりもっと積極的に学生そのものが介入し、辛いイジメを止めていることが伺える。また、スペインのマドリード市民擁護局が行なった実態調査では、調査対象は少ないとはいえ、外国人子弟という理由で他よりイジメが多いと言うことはなかったが、クラスメイト等から無視される率は一般のより高いということは分かった。また、加害者というより被害者になっていることが多い。この国でも外国人が多い集住都市や地域では外国人子弟の教育問題が自治体の課題になっており、同じ言語圏から移民して来ている中南米諸国出身であってもまだかなりが高校中退者でなっていおり、高等学に進学できない状態にある。

  日本では年間自殺者が33.000人に上るが、その内19歳以下が600人(全体の2%)で、これらの中でどれだけイジメによる学生自殺者であるかはなかなか解明することは難しい。

  ただ南米日系就労者子弟もイジメや言葉や習慣の違いによる孤立した状態に耐えきれず、親の理解や努力不足も相まって公立学校をも辞めて行くケースは逆に増えているが、教育の義務化を徹底して改善して行くしか方法はない。

MUSASHI No 53 -Setiembre/Diciembre de 2006
(c) J.Alberto Matsumoto-IDEA NETWORK

 
 
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