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スペイン語情報誌「MUSASHI」 2006年05月- 08月号第52号

目次

-歪んだ労働市場「過労死」は増加傾向
-成熟した社会を築くために少子化というのをどう受け止めるかが課題
-無期懲役」は「終身刑」ではない
-逃亡者増加で中南米の一部に「犯罪者引き渡し条約」を要求
-外国人子弟の親御さんは早急に子供たちの「母語」を決める必要がある
-少子化で大学は余ってくるが
-高学歴であっても職に就けない若者
-1円の株式会社と言っても
-ドミニカへの日本人移民:判決と政府との和解成立
-「ワイルド?ソウル」という作品についてのコメント
-中南米諸国の雇用:不安定ながら規制が強すぎる
-「なぜ成長する国と成長しない国があるのか」を考察
-第47回海外日系人大会の案内

スペイン語情報誌「MUSASHI」 2006年05月- 08月号第52号 (PDF)

■歪んだ労働市場「過労死」は増加傾向

  景気も業種によっては回復に向かっており雇用も創出しているようだ。ただ、非正規雇用の方が圧倒的に多く、正社員として働いている勤労者の長時間労働は相変わらず改善されず逆に増えているという指摘もある中「過労死」認定も増えている。申請件数も以前より多く、また認定基準等もかなり明確かつ透明になった部分もあり、死亡前の超過勤務時間数や専門医への相談等(診断)がポイントのようである。ただ、「過労死」は世界的にも"karoshi"と知られており、日本の歪んだ労働市場の汚名の一つである。ヨーロッパ諸国より規制が緩和された労働市場であるにもかかわらずこうした残念な事案が増えているということは企業の労務管理や人事制度のあり方を根本的に見直し?改善し、バランスの取れた正規雇用と非正規雇用をマッチングしなければならない。製造業や建設業には多くの日系就労者もいるが、いつまでも「調整弁」として使うのではなく、もう少し中長期的な視点に立って日本での定着を確実なものにするためにも正規雇用としての対応が望ましい。

■成熟した社会を築くために少子化というのをどう受け止めるかが課題

  寿命率は世界一で特殊出生率は1.25という史上最低であり、高齢少子化は避けて通れない挑戦のようだ。育児へのインフラ問題や女性の雇用と家庭(育児)の両立問題等様々なことが議論されているが、多少改善に向かったとしても今の人口水準を維持することは不可能であり、少子化になっても逆にそのメリット等を助長して成熟した社会を構築することも現実的な案であり、最近はそうした専門家の著書も目立っている。こうした社会を目指すことに今の生活水準を多少落とす必要もあるという指摘があるがそれでも今の無駄遣いや浪費を見直すことは資源のない国としては当然のことであり、ライフスタイルを新しい仕組みに対応することも大きな課題である。

■「無期懲役」は「終身刑」ではない

  凶悪犯罪主に少女暴行殺人事件というようなことになるといかなる遺族も裁かれている被告人に極刑「死刑」を要求することは理解できる。しかし、未だに「数の論理」が重視されているため、被害者が一人か二人の場合、その動機や事件状況にもよるが通常の判決は「無期懲役」である。この概念は、スペイン語でも良く「cadena perpetua」というふうに訳されているが実際は終身刑でないため「prision por tiempo indefinido」というのが適切であり、誤解を招いている。国によってその司法?刑事制度に左右され、終身刑であっても日本の無期懲役に近い運用もあるが、「仮出獄不適用の終身刑(cadena perpetua sin excarcelacion)」というのがある。事実上の終身刑である。日本のように死刑がない中南米諸国ではこうした仕組みがあるが、日本の無期懲役はあまりにも刑としては運用上の裁量が大きいため、凶悪犯でも刑務所での服役行動によって十数年の懲役で刑を服してしまうケースも多いと言われている。終身刑とはほど遠い実態であり、犯罪被害者の遺族らは当然納得しない。

  広島の女児殺害事件でペルー人被告人が無期懲役に処されたが、裁判官の「仮釈放に慎重な検討を求める」ということは異例でもあるが前進とも言える。ただ死刑制度がある以上、やはり許しがたい凶悪犯罪には死刑を適用し、執行も所定の手続きを踏まえながらも迅速に行なうことで犯罪の抑止力を高める必要がある。最近は「終身刑の導入運動」もあるようだが、そのためには刑法の改正も求められる。

■逃亡者増加で中南米の一部に「犯罪者引渡条約」を要求

  日本国内で犯罪事件を起こし取り調べを受ける前又はその最中に本国又は他国に逃亡する外国人容疑者が増えているため、18の市町村で構成されている「外国人集住都市会議」は今年の4月三重県四日市市で開催された会議でブラジル等との「犯罪者引渡条約」の締結を全会一致で日本政府に求めた。

  死亡者や重傷者が出ている悪質な交通事故の容疑者(多くは無免許、無保険、偽造車検、そして飲酒運転という状況の中起こす事件)や殺人容疑で指名手配の外国人容疑者が増えているということである。それもブラジルやペルーという南米出身の外国人であり、90年代から日系就労者として来日しているものである。確かにペルー人の場合偽造日系人としてかなりの者が入国、滞在しているとみられているが、入国の際も偽名を使っていることも少なくなく指名手配をしても本国で見つけることは困難で、日本に出頭するよう説得することはほとんど不可能に近い。広大な領土で州の自治が強いブラジルでも同様である。仮に条約が締結されても地元の捜査当局の協力を得て身柄確保することはそう簡単なことではない。それにブラジルの場合、憲法によって自国民は外国に引き渡さないと規定しており、日本(上記会議)が求めている案の前進は期待できない。

  入管行政による出入国の厳格化等も重要であるが、産業界の安易な労働力確保が原因でありそれに沿って南米の日系就労者に対して過剰な「準同胞配慮政策」を行なったことが今になって仇となっている側面も忘れてはならない。一方、集住都市ではこうした就労者の税金や保険料の滞納問題も悪化しており地域社会での共存の視点からもあまり思わしくない状態が続いているが、当初から国として移民政策をきちんと検討してこなかった政府にも大きな責任がある。いずれにしても、これだけ犯罪や違法行為が増えていると当然ながら日系人への風当たりも悪くなり、こうした就労ビザの削除や様々な不都合が予想される。とはいえ、現在ブラジル人30万人、ペルー人5.7万人がこの日本に居住しており、いずれ本国に帰ると言いながらも多くはこの土地に残るだろう。また受け入れた以上こうした「移民」が今後も安心して住めるよう日本政府ももっと実態把握に務めるとともに有効な共存関係を構築するために知恵を絞る必要がある。犯罪者や非合法的な手段を用いて入国した者への摘発はまじめに生活している者からも歓迎されており、むしろ遅すぎると言う声も聞こえる。当初から入国及び滞在諸条件を明確かつもっと厳しくしていれば今のこうした残念な状況は防げていたに違いない。

  1995年から2005年迄の間、外国人の刑法犯及び特別法犯の事件数を累積すると約38万件、17万人が関わっていることになる。ブラジル人の場合は刑法犯が累積で42.098件、7.942名が検挙されており、近年麻薬関連事件が増えていることも懸念材料だ。ペルー人の場合は、刑法犯が8.937件で3.467人が検挙されているが、前者と違って特別法犯での検挙件数(2.612件)と検挙者数(2.114人)がかなり多い。また、不法滞在者がまだ約7千人ぐらいいるとされている。実際、これまで入国してきた日系ペルー人の身分チェック(日系人であるか否かを立証するための戸籍謄本や地元で偽装してきた出生証明書、婚姻証明書等)を強化すれば新たに入管法違反や公文書偽造行為が見つかるのではないかと指摘されている。 

■外国人子弟の親御さんは早急に子供たちの「母語」を決める必要がある

 南米日系就労者の日本での滞在計画がはっきりしないことや子弟の母国語であるスペイン語やポルトガル語での教育を望んでいること等が日本の教育制度の中で今多くの未就学、不就学問題を起こしている。地域によって差異はあるが、小学校に行っていない子が2?3割、中学校には5?6割、そして高校にはほとんどが通っていないという悲しい数字である(国語等基礎教育ができていないため高校に入学しても無事卒業する日系人子弟は少ないとしている)。

  現在、コミュニティーの中には私塾としてブラジル学校が80校あまり、スペイン語(ペルー)学校が2校程全国的に存在するが一部を除いて学校とはほど遠い姿であり、施設としても教員の質からみてもあまりにも問題が多すぎる。多くの学校は単にビジネスとしてしか考えていない経営者兼校長が運営に当たっており、いくら自治体や日本人ボランティア(日本語教育等を担当している大学生や大学院生等)が一生懸命努力して工夫しても日本の制度内にある学校または本国にある正式な学校の学習水準には到底及ばない。事実、こうした私塾で勉強した子が本国の学校にある程度スムーズに編入できたケースは稀であり、多くが落第を繰り返し、不登校になるか完全に脱落する。時には高等学校へ進学できた事例が紹介されているが、それは並ならぬ親子の努力と執念があったほかならない。

  一方日本に留まっている世帯の子は義務教育を終えるとさっそく親がブローカーに紹介して職に就かすことが多いようである。自分の子が日本の学校でイジメにあったり、いやな思いをしたことで悩む親も当然いるが、残念ながらすぐにあきらめて「もう学校には行かなくていいよ、どうせ来年帰るから」とか、「それじゃ、あのブラジル学校にいけばいいじゃない」とかで、あまり今後の進路を真剣に考えず対応している親が多い。
  集住都市等ではバイリンガルのカウンセラーや補習事業等で対応しているが、教育に対する親の意識があまりにも低いことで有効な手だてを講じられないのが現状であり、そのうえ外国人子弟には義務教育の「義務」が適用しないという制度もこうした実態を助長していると言わざるを得ない。

  これも日本の国としての移民受け入れの無策ぶりを露呈しているのだ。やはり義務教育は義務づけるべきであり、そして制度の中で側面的な支援を実施せねば今のままでは逆に未就学件数増加は止められない。また、「私塾を各種学校」にするというような対応は公的資金の無駄であり、責任逃れさえに見える。たしかに一部の私塾では多大な努力をし、志を持った学校幹部や教師もおり、それに地元企業や日本人ボランティア等の支援も得ているようだが、今の日本はすべてが制度化されており、新たな制度をつくるというより各制度の中で異なった部分をうまく適用するように努力せねば教育の場合はその年齢毎のプロセスを失ったりまた不備が多かったりすると後に大学進学は愚か高校にも進学できず多くのチャンスを失うことになる。文盲者かそれに近い中途半端で「国語教育」をもたない子になってしまう。

  こうした子弟の”母語”は確かにスペイン語やポルトガル語かも知れないが、ここまで家族単位でこの日本に移民、滞在している以上はもはや「日本語が母語」であっても何の不思議もない。

  たしかに日本語は難しい言語であるが、それに新聞等を読めるようになる迄は3千の漢字をマスターしなければならないという。でも、軸になる「母語」というものがなければ他の言語も習うことができない。とにかく一つの言語を国語としてシステマティックな知識がない以上、自分を表現する語彙もなければ他のことを理解することも出来ない。当然ながら自分の考えや論理も構築できない。今の日系人子弟の多くはこうした状況にある。日本にいる以上、母語を日本語にし、日本語で国語を学べばいずれ英語やスペイン語、ポルトガル語等きちんと学べるようになる。そのことを理解しない限り将来はない。私塾も本国のことを教える語学学校としては機能しても「真の学校」ではない。一時的に脱落した日系人子弟が教育制度に戻れるようサポートすることが私塾の役割だが、自分から別枠で学校をつくることは非現実的でいずれ今以上に未就学児童及び青少年を出してしまうことになる。

  筆者は、日本人の顔をしているがアルゼンチンで生まれ、母語はスペイン語であるためこの言語で全てのことを学び高等教育も受けた。16年前、28歳で国費留学生として来日したときは日本語の読み書きがきちんと出来ずテレビのニュースも理解できないことが多かった。必至に漢字を勉強し、文書を理解書けるように努力した。今もその過程にある。でも、「母語はまだスペイン語」でありながらようやく日本語でも考えられるようになった。

■少子化で大学は余ってくるが

  全国に国立、公立、そして私立大学を含めれば700以上の大学が存在し、最近私大の定員割れが40%台になっていると報じられている。もともと大学の数が多いのだが、こうした私大やあまり人気のない公立や国立の学部等は今後生徒確保に悩むことになる。少子化により若者が減ってきていることも関係しているようだが、多くの私大では入試で「合格」していなくとも「合格」させてしまうことも考えられる。レベル低下が懸念される。

  日本は入試迄が厳しく、いったん入学するとほぼ100%が卒業できるようになっているがこれは世界的に見ても異常としか言いようがない。高等教育のあり方や労働市場のニーズ等を鑑みて制度そのものを改善せねば大学で脱落しなくとも社会人として落ちこぼれになってしまう危険性の方が高い。

高学歴であっても職に就けない若者

  約2ヶ月前のニューズウイーク日本版の特集記事に「高学歴難民」というテーマが取り上げられていた。大卒、修士号、博士号取得者でそのスキルにマッチした職に就けない人達である。それも先進国では深刻な問題になっているという。途上国でも以前から大学を卒業しても中々職に就けない、専門分野とはまったく関係のない質の低い職に就くことしかできないという状況はよく知られているが、日本でも高学歴になると文系の場合、修士の場合は47%、博士は40%しか就職できない実態が浮き彫りになっている(理系は修士が約8割、博士が65%になっている)。進学を考える際、やはり市場のニーズやキャリア形成という要素も現実的に見極める必要がある。

1円の株式会社と言っても

  株式会社の設立要件が緩和され誰でも会社法人をつくることができるようになった。が、設立しても運営能力やその事業に見合った準備資金、運営資金がなければまったく意味がない。数年後には1千万社が存在するようになり、「起業家」が増えるということになる。サラリーマンを辞めた人又は辞めさせられた人達の再チャレンジに役立つとされているが、1円の株式会社等実態としてはほとんど意味のない信頼性の低い法人であるという見方もある。若者やニート対策にも期待を寄せているようだが会社のマネジメントはそう簡単なことではなく法人にすると経理や総務の事務とその固定費も増える。自分のために稼ぐというだけではなく、様々な固定費を賄うために働くことにもなり、就労意欲のない若者対策としてはいささか疑問が残る。

  また、外国人コミュニティーの中でもブラジル人やペルー人らが「1円株式会社」に関心を寄せているが、雑貨店やレストラン、ディスコ経営等が主であるが、法人にする前経営能力を身につけ日本の法制度やビジネス慣行を学ぶことが先決である。もちろん日本語もである。コミュニティー内の飲食店なんかは半年から一年ぐらいでオーナーが変わっている状態だが、そのほとんどが経営難や事業の見通し違いによるである。

■ドミニカへの日本人移民:判決と政府との和解成立

  日本の戦後移民として最悪の結果を招いたドミニカ共和国移民。官主導の移民であったにもかかわらずずさんな事前調査と移民後の対応。249世帯1319人の多くは別の国へ移民するか、日本に戻るかを迫られ一部がドミニカに留まったのであるが、その留まった者とその子孫によって7年前日本政府を相手に裁判を起こし、責任追及と損害賠償を求めた。裁判者は政府の無策ぶり(国の法的義務違反)を認定したが、損害賠償に関しては時効を理由に棄却した。170名の原告団は控訴したが、政府が首相の謝罪談話と見舞金の支払い等を発表したことで和解が成立し、小泉首相との面会も実現した。また、移民先では大統領もこのことを歓迎し、日本人移民数十人が官邸に招かれた。

  いずれにしても、このドミニカだけではなくブラジルやボリビア、パラグアイやアルゼンチンでも「約束の肥沃な土地」が「悲惨な不毛の土地」だったという事例はいくつかある。ただ、このカリブ海の島国は全体的に土地が耕作に適しておらず可耕地が21%で同じ島で隣接しているハイチは世界でも最貧国で可耕地が今でも20%以下である。こうした状況の中、「カリブの楽園が地獄になった」背景が伺える。他の南米諸国ではまだ逃げ道があり、親族や知人を頼って別の国や移住地に「避難」し、何とか再出発することができたのである。

  今回の小泉首相の談話で「みなさんの苦労は想像を超えるものがある。政府として反省すべき点がある」と言って謝罪したことは大きな異議があるが、日本の一般の方々や日本に在住している南米日系就労者を何らかの形でサポートしている者もこのことをもっときちんと理解するためには、明治から大正、昭和から平成までの歴史をもっと多面的にみながら、海外移民を選択せねばならなかった理由や社会的?経済的諸事情等を把握する必要がある。

  また、戦前?戦後海外へ移民した多くの日本人には「日本人としての誇り」、「日本人としての志」、「日本人としての品格」というようなものが強くあり、現代日本人主に若者からは「貧乏臭くて時代遅れ」と言われてしまうかもしれないが、そうした要素が多くの苦難を乗越えるための原動力になったことを忘れてはならない。同じく、東南アジアや満州の開拓団員として海外に移民した人達も同様である。

 ドミニカ共和国:
  ○カリブ海の島、1492年コロンブスの到達によって発見される。
  ○面積:4万8千平方キロ(九州の約1.4倍)    ○人口:890万人
  ○首都:サントドミンゴ (人口:270万人)
  ○住民:白人と黒人の混血75%、白人16%、黒人11%
  ○公用語:スペイン語   ○宗教:カトリック教徒
  ○政治体制:共和制 元首大統領  議会は二院制
  ○国内総生産: 290億ドル(05年)  ○一人当たり所得:3.000ドル
  ○小学校就学率:87.4%  ○中学就学率:52.7%
  ○失業率:18%(半失業状態も含む)
  ○平均寿命率:男性66.9歳 女性74.2歳
  ○輸出:57億ドル  輸入:78億ドル (04年統計)
   (砂糖、ニッケル、タバコ、観光収入が主な外貨源)
 

●「ワイルド?ソウル」という作品についてのコメント

  第57回日本推理作家協会賞を受賞した垣根涼介氏の作品でロングセラーになっている小説。ブラジル?アマゾン奥地に「棄民」された日本人とその子孫の日本政府への復讐をテーマにしたノンフィクション&フィックションドラマであれが、スリルと迫力のある小説である。 「ワイルド?ソウル(Wild Soul)」 垣根涼介 幻冬社 定価:1900円+税 2003年発行 ISBN 4-344-00373-X C0093 http://www.gentosha.co.jp/

 

■中南米諸国の雇用:不安定ながら規制が強すぎて雇用創出を妨げている

  2005年の国際労働機構ラテンアメリカ?カリブ支部の報告によるとこの地域全体の平均失業率は9.6%であり、現在2千万人以上が完全失業状態にある。アルゼンチンやブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル等では多少改善してきているが、まだ10%を超えている。メキシコが案外低く、3.9%だ。とは言え、地域全体で女性や若年者の失業率は依然として高く40%に推移しており、女性の賃金水準も男性のより66%も低いという。15歳から24歳迄の若者の失業者数は約1千万人であり、全失業者の42%に相当する。こうしたことも反映してアメリカや欧州への移民は絶えることなく現在2千万人の中南米出身者が海外で就労?生活している。

  同報告は、非正規雇用になっている「ブラック労働(雇用保険や労災保険、年金や医療保健に加入していない労働者で契約も非常に不安定)」も相変わらず高く、コロンビア、エクアドル、パラグアイとペルーでは労働市場全体の6割に達しているという。コスタリカとパナマが40%台でウルグアイが37.7%とされている。いずれにしても、中南米の就業人口の53%(2億4千万人、これは日本の就業人口の約4倍に当たる)が何の保障もない又は保障が不十分な職にしか就いておらず、インフォーマルセクターを形成している。ほとんどが年金もかけていないため、老後は無年金者になる。全体として所得だけではなく購買力も低いのが裏付けられる。

  中南米諸国の多くは形式的には労働法規がかなり厳しく、新規雇用に対する雇用主の負担、短期雇用や非正規雇用(派遣、臨時雇い、アルバイト、パート等)の仕組みが運用上あまり柔軟でないため、結果的に「労働者保護」のもと雇用創出が妨げられ、労働者自身もブラック労働を選択することが多い。また、労災補償等の補償額を民法を適用して無制限にするという法案が審議されているアルゼンチンでは、逆に「労災隠し」が増え、申告しない災害の方が多いという。

  今の失業状況を改善し雇用創出を達成するには地域の平均成長率が5.5%を必要としているが、国連のラテンアメリカ経済委員会の予測によると今年は5%で、アルゼンチン、ドミニカ共和国、そしてベネズエラが7.5%以上で、他は4%台に推移するとみている。

■「なぜ成長する国と成長しない国があるのか」を考察

  世の中にはいかなる障害や不利な点があっても成長する国と、全ての諸条件が整っているにもかかわらず成長しない国がある。通常前者には日本が入り、後者にはアルゼンチン等南米の国々が例えに出される。南米の中でも豊富な資源がある国の方が中々成長しないという見方もあるが、最近のブラジルなんかの発展ぶりは地域内では圧倒的な存在を見せている。

  アルゼンチンのJose Ignacio Garcia Hamiltonという弁護士、ジャーナリスト及び大学教授は、こうした疑問に答えるため、今の先進国や途上国主に中南米の歴史を重点に成長する国と成長しない国の理由と背景を比較検討している。中南米に関してはスペイン帝国の征服の経緯やその方法が今も健在な前近代的な権力構造を構築し、選挙によって大統領や知事が民衆によって選ばれても事実上制度的には民主主義は根付いておらず、権力者は意図的に制度的な民主主義の形成を阻止しているという。著者は、いかなる政権であっても権力者の言動を制度的に制限できない国は結果的にいかなる構造的な問題にも挑戦せず、民衆を煽って半永久的に政権の保持を追求することしか考えていないと、厳しい指摘をしている。

■第47回海外日系人大会の案内

海外日系社会の新たなる発展を目指して
? 歴史を振り返り、明日への活力に ?
2006年9月26日(火)・27日(水)・28日(木)

プログラム等の閲覧や申し込みはこのサイトでできます。
http://www.jadesas.or.jp/taikai/01taikai47.html

主催:財団法人 海外日系人協会(Kaigai Nikkejin Kyokai)

後援:外務省、東京都、全国知事会、独立行政法人国際協力機構、国際交流基金、独立行政法人日本貿易振興機構、国際観光振興機構、日本経済団体連合会、日本商工会議所、海外日系新聞放送協会

■外国人のための無料専門家相談会

Servicio de Asesoramiento Gratuito para Residentes Extranjeros
Se dispondra de la presencia de especialistas: Abogados, Gestores Admnistrativos, Gestores Laborales, Consejeros en Educacion, etc.
SE ATENDERA EN ESPANOL, PORTUGUES, INGLES, ETC.
Se respetara la confidencialidad de las consultas.NO hace falta reservar.

  FECHA: Dia 29 de octubre-Domingo 13:00?16:00 hrs.
LUGAR: Edificio KOKUBUNJI ROSEIKAIKAN (a 5 min.de la Estac. Kokubunji, salida Sur (minami-guchi), Linea JR Chuo-Sen.)
Organiza: Kokubunji-Shi Kokusai Kyokai (KIA)
Para informes: Tel 042-325-3661

 
 
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