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スペイン語情報誌「MUSASHI」 2005年09月- 12月号第50号

目次

?労働契約法構想、非正規雇用に見方に?
?相変わらず間接雇用(請負)は多い
?300万円以下の男性給与取得者2割に増加
?日本の老人ホームについて
?マレーシアへの出稼ぎ語学研修義務づけ
?日系フィリピン人とフィリピンの女性で稼ぎ者
?高齢者の構成と経済的、社会的状況
?長期入院が困難な日本の病院
?アジア諸国のミドルクラス
?高い医療費、リッチな医師
?日系就労者子弟の非行拡大防止策
?中国国内の格差拡大問題
?有能で経験豊富な幹部職員が不足している中国
?中南米諸国にプレゼンスを高める中国
?フランスの青少年暴動事件を考察
?日本で取得する国際運転免許証
?未成年の運転を容認した母親逮捕
?第46回海外日系人大会
?日本の歴史
?稼ぎと家庭をどう両立するか

?労働契約法構想、非正規雇用に見方に?

■経済活動も回復している中非正規雇用は増え続けており、派遣法が改正され製造業への派遣も解禁されたとはいえ相変わらず「請負契約」を悪用して多くの人が工場労働者として従事している。日系人を含む外国人労働者の多くはこうした”就労形態”によって仕事に就いているが、現在厚生労働省のある研究会で議論されている「労働契約法」はこうした不安定雇用やグレーゾーンの就労者をもっと積極的に保護できる仕組みであるが、増えている非正規雇用にどこまで安心感を与えることができるかが大きな課題である。

?300万円以下の男性給与取得者2割に増加

■年間給与300万円以下の男性増:国税庁の統計によるとこの層の男性給与所得者が2割になっており、今の労働市場の雇用形態や賃金形態を見る限りこの傾向は上昇していく可能性が高い。日系就労者の多くはこの層に入っており、憧れの「ミドルクラス(所得500?800万円)」からはかなり遠ざかっていると言わざるを得ない。

?日本の老人ホームについて

■高齢者が増えることによって特に大都市ではサポートが必要な高齢者の各種施設が不足している状態であり、病院も例外を除いて長期入院が非常に困難である状態に陥っている。お世話をしている親族らは、介護保険の各種サービスや給付を利用して自宅介護や短期入院、そして場合によっては空きがある地方の施設に収容することを選択せざるを得ないこともあるようだ。日本で就労している日系人の場合、まだ高齢者の諸問題に直面しているケースは希であるが、国民健康保険には加入していても年金(社会保険の厚生年金をも含む)に加入している者があまりにも少なくいずれ大きな問題になる可能性がある。間接雇用という就労形態にも起因するが、日系就労者の希薄な意識や長期計画のなさがこうした状態を招いている側面も否定できない。

?アジア諸国のミドルクラス

  中国のプレゼンス中南米でも高まる

■日本の中流階級に大きな変化が発生しているため、最近は「格差社会」とか「下流社会」という言葉がよく聞かれるようになった。ミドルクラスがミドルの下又は下の上ぐらいに下流していることを指しているようだが、経済の勢いが泊まらない中国やインドでは、新たな中産階級が登場しつつある。これらの国々の貧困問題が解決しているわけではないが、人口が多いため、その一部が経済的に豊かになって行くことに連れて新しいミドルクラス又は高所得者層が誕生しているのである。中国だけでも2億人、インドでは1.5億人、そして他の東南アジア諸国では1億人という規模の中産階級が存在しているという。今までは製造業等の生産拠点としてしか見られていなかった地域だが今は大きな消費市場として注目を浴びているのである。これらの国で中流というのは、年間所得が4千?6千ドル(43万円?66万円)という内容であり、日本の500万円?800万円の十分の一でありなが物価水準が異なるため、前記の所得に達すると生活の必需品の中には家電や車、バイク等が現れるようになる。

  ただインドでは、未だに一日1ドルで生活している貧窮者が4億人いるということも忘れてはならない。そして中国では地域によって所得がかなり異なり、経済成長が著しい上海などではポルトガル並みの1.1万ドル、北京では4.5千ドル、そして南部の省や県では2千ドル以下で農村地帯に行くと年間千ドルにも及ばないところもまだたくさんあるのである。中国では、まだ8億人という人口が貧しい生活を送っており、年間5千ドルという所得からはほど遠いのである。

  それでも、これだけの経済活動を支えるためには今は世界中からエネルギー資源、鉱物、食料(大豆等)を大量に輸入しており、中南米諸国からも調達している。輸入している8割の魚粉(ペルー)、6割の大豆(ブラジルやアルゼンチン)、5割の砂糖(キューバ)、9割の銅(チリ)等はラテンアメリカから購入しているのであり、仕入先を確保するために中国政府のODA策やアグレッシブな外交がここ数年前から伺える。

?高い医療費、リッチな医師

■国家負担の医療費が高まる中政府は様々な方法でこうした支出を抑えようとしているが、そのためには今の健康保険制度全体の見直しなどを行っている。しかし、ある調査によると医師の所得はかなり高くなっており、地方では高所得者の1割は医師であることが分かった。所得が高いというのが問題ではなく、偏っているというのが気になるデータであり、また、利用者が必要以上に医師にかからないようにする工夫も必要である。

?日系就労者子弟の教育方針と進学

■出稼ぎ日系人就労者の多くは日本への定住を選択しつつあるが、その中で子弟の教育方針や大学進学などについてあまり日本の労働市場やその将来性を把握していないため適切な指導ができていないことも多い。未就学・不就学問題も深刻だが、高卒を達成した一握りの日系人たちは専門学校や大学に進学しようとしている。学校で様々な指導を受けているに違いないが肝心の親御さんたちが日本のことをあまり理解していないことで、語学系の大学を進める一方ですぐに就職にマッチングできるような専門性のある分野を避けているようにも見える。大学から大学院に進学していくのであればよいのだが、日本の場合専門分野によっては大学より専門学校の方が就職に有利だということも理解してした方が良い。

?フランスの青少年暴動事件を考察

  ?集住都市の日系人青少年の未来を懸念する?
■70年代に製造業や建設業の人手不足を補うために外国人労働者を受け入れたフランスでは、その二世、三世が各地で暴動を起こし、フランス国籍を取得しているにもかかわらず彼たちの社会的状況はかなり悲惨であるということも浮き彫りになった。都市郊外の貧困地区に居住しており、失業率も20%を超えており、地区によっては若年者失業率が35%?40%にも及んでいるという実態である。また、義務教育も終えていないケースや高卒中退者が多いため高等学校への進学率も非常に低いという層である。スキルがないため、当然ながら都市にでても仕事に就くことが難しいのである。また、フランス経済の構造を見る限り、りっぱな先進国で輸出大国であってもサービス部門や製造業部門でも生産率がかなり高いため、すべての労働力を吸収することができないのも現状である。

  貧困地区では、失業保険の給付より日本の生活保護のような福祉支援が与えられてきており、こうした”社会的配慮”が自立支援を妨げてきたという指摘もある。

  日本にも、愛知県や静岡県、群馬県や三重県等、中南米諸国出身主にブラジル人日系就労者らが集中して居住している公営団地等が多数存在し、所得もそう高くなく、子弟の未就学・不就学率が30%?50%に及んでおり、高卒は全体の2割にも達していない状況がある(青少年に非行も高い)。ただ、幸いにも失業率は日本人の平均よりは高いものの、フランスのケースのように暴動が起きるような要素はないようである。ただ、将来的に、今の産業構造も変化し、こうした就労者の二世、三世も日本に留まり、スキルも学歴も低く、社会に対する劣等感や不満が高まった場合、同じような行動にでてくる可能性も否定できない。こうした少年や若者は現在両親の出身国の国籍を継続しているが中には日本国籍を取得しはじめている者も増えおり、国籍を取得しても社会的状況はあまり変わらないのがフランスの教訓である。日本に留まるのであれば日本の諸制度やしきたり、文化や価値体系をもっと真剣にマスターし、自分の文化体系に取り入れることが望ましいのだが、一部の集住都市などでは「多文化共生」の下であまりにも配慮しすぎたため、日本社会から孤立した存在になりつつあるコミュニティーもある。今後は地元自治体や地域住民と今発生している摩擦を克服しながら同化(統合)政策の過程やその影響を考えると共に安易な多文化共生というのも見直す時期なのかも知れない。


 
 
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