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スペイン語情報誌「MUSASHI」 2005年05月- 08月号第49号

目次

-労災隠し問題 ......................................................... (1)
-大卒の求人増.......................................................... (2)
-短期離職率も増えている........................................ (2)
-スペイン:外国人の車運転免許証切替 ................. (3)
-ドライバとしての自覚向上..................................(3-5)
-国際民事訴訟手続きとは.........................................(4)
-親子不存在確認の申し立て(家事事件) ...............(5)
-ブラジル人不法滞在者増える ................................ (6)
-外国人の強制送還と入国拒否者数..........................(6)
-交通違反罰金:「逮捕するぞ」効果 ..................... (6)
-EU負担共有で強制送還効率化 .............................. (7)
-「業務上過失致死傷罪」刑法211条 ....................... (7)
-パンアメリカン日系人大会、カナダで開催 .......... (8)
-二重国籍にはデメリットもある.........................(9-10)
-バイクの売買と名義変更.......................................(10)
-日系人の送金と投資 ..........................................(11)
-実現薄いバイリンガル教育 ..................................(12)
-日本語の指導が必要な外国人児童・生徒.............(13)
-横浜などの外国人相談窓口?登録者数..............(13)
-バイリンガルと称する日系人子弟........................(14)
-プロの通訳育成 .................................................(15)

-労災隠し問題

  年間4日以上の休業を有する労働災害死傷者数は約14万件。その内約1600が死亡している。日系人や中南米出身者が就労している業界は労災が比較的発生しやすい業種及び業務であり、そのうえ間接雇用であるためかなりの労災隠し事件の被害にあっていることが推定できる。雇用主が労災保険に加入していなくても補償が受けられるということを把握していない外国人労働者が多いが、最悪不法就労者であっても補償は受けられるようになっている。そのためには雇用関係が存在し、事故が発生したと言うことを立証することが必要になるが、一番重要なのは病院で手当を受ける際その旨医師に伝えることからはじまる。

-大卒の求人増

  リクルートワークス研究所によると、民間企業の求人数が約70万人であるのに対し、求職希望者数は44万人で求人倍率が1.60倍になっており、来年卒業予定の大学生・大学院生と企業のニーズ間の需給がアンバランスになるという。業界によっては、特に流通業界等、その倍率が更に4倍近くになっており、今後、求人が増えると言うことになる。
しかし、他の調査によると、全国の私立大学・短大の教員の6割が、学生の基礎学力が不足していると感じており、大卒の質の問題も指摘されている。こうしたミスマッチも是正しなければならないが、真剣に勉強し市場が求めている専門的な知識を身につければ逆に良い就職チャンスを得ることができるという見方ができる。

-短期離職率も増えている

  新卒就職者の短期離職率は年々上がってきており、1年以内が15%、2年以内が26%、そして3年以内が36%にも及んでいる。企業も入社時期を遅らせたり、サークルやボランティア活動で得た社会経験等も評価しながら柔軟に対応して離職率を改善し、定着率を拡大するために昇進方法や中途採用等への対応にも工夫を行っている。また、短期離職者の多くが辞めた後も正規の雇用に付かずフリーターやニートになるものが増えていることを受けて、政府も企業の新たな試みに注目しているようだが、実際専門性の高い有能な人材以外は、再就職までの期間が長引くと結果的には良い職には付けず社会からも孤立していく状況はあまり改善しないのが実状である。

-スペイン:外国人の車運転免許証切替

■中南米出身者の多い集住都市での交通違反・交通事故発生件数は他の地域より多いと言える。その理由には、日本で正規の試験を受けず運転免許証の切替のみで運転している者が多いということと、無免許又は偽造国際運転免許で運転していることが多いからである。罰金だけではすまず、当局に起訴され裁判になり有罪判決を受けた者もいる。

   一方、ここ数年多くのアルゼンチン人が移民したスペインでは、アルゼンチン人の運転免許偽装事件が相次いだため、当局は、切替手続きをもっと厳しくすることを発表、場合によっては2年前から有効である二国間協定を停止することを検討している。スペインでも、日本と同様、免許を取るためには教習所に行って試験を受けて合格した者だけが運転できるのである(約14万円の費用がかかるという)。

-国際民事訴訟手続きとは

■日本への定住が確実になりつつある日系人就労者の中には、民事や家事裁判で被告側が本国に戻ってしまったり、はじめから海外に住んでいるというケースがある。家事事件になると、例えば、「子供の認知」、「親子不存在の確認」、「相続関連」など多いが、日本の家庭裁判所で訴えを起こしても、相手(被告側)が本国又は外国にいる場合、訴状や裁判資料を日本の裁判所や行政官庁を通じて行う必要がある。直接、郵便局から書留で送ることはできないのである(アメリカはそうすることもあるが、日本側がそうした送達方法を認めていない)。日本の民事訴訟法や家庭裁判所の規定、民事訴訟手続きに関する条約、民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約等に基づいて当事者がいる国に送達するのである。通常の場合、例えば横浜家裁で訴えた場合、それが東京高等裁判所に提出され、そこから最高裁事務総局に渡り、そこから外務省、在外公館(当事国の日本大使館)、指定当局(相手国の外務省と法務省)、受託当局(裁判所)、そしてようやく当事者に送達するのである。事件や手続きによって多少省略する部分もあるようだが、送るだけでも半年から1年、そして相手側の供述調書や証拠書類等現地の裁判所を通じて送ってくる場合同じく1年ぐらいはかかるという。

日本から送達する場合、申立人(原告)の責任と負担で相手国の言語に翻訳しなければならない。相手国から来る場合同じく相手方(被告)が日本語に翻訳しなければならない。

-親子不存在確認の申し立て(家事事件)

  このような申し立ては、妻が夫と別居中に他の男性との間の子を出産したときに行われる。夫は、自分の子ではないということを立証するのである。こうした申し立ては家庭裁判所に申し立てることができ、当事者間に合意があれば比較的スムーズに判決を得ることができる。戸籍での氏名変更等、後からの離婚手続きとも関係してくる。
中南米の日系人の中でもこうした事例はそう少なくはなく、案外別居中に別の男と子を設けることが目立つ。また、夫との離婚がまだ成立していないにも拘わらずこのような状況になることもある。また、外国人の場合、日本で離婚が成立しても場合によっては本国の裁判所による離婚判決も必要になるため、その長い期間中に別の男と関係を持ったりして子を設けるとこのような申し立てが必要になる。

-ブラジル人不法滞在者増える

-外国人の強制送還と入国拒否者数

  ■不法滞在者、入国拒否者、強制送還:現在の不法滞在者は20万7千人ぐらいで、その内約7割は短期滞在ビザで入国した者である。最も多いのが韓国(4万3千人)、中国(3万2千人)、フィリピン(3万人)等であり、ここ数年特徴的なのがプラジルの増加である。昨年は約5千人になり、ペルー人が6千人あまりである。ブラジル人に関しては、非日系人の入国・不法滞在のケースもあるが、日系人でありながらビザの更新手続きを怠っているケースが目立っているという。

一方、2004年中5万5千人の外国人が退去強制命令を受けて国外追放になっている。ほとんどがアジア諸国出身者であり、この中には刑事罰を受け執行猶予判決になっても、ビザを取得していないため強制送還になった者や服役中にビザの有効期限が切れた者もいる。

また、年間1万人以上の外国人が上陸拒否になっている。7割が入国目的に疑義があるということであり、偽造旅券の発覚でそのまま強制退去になるのが8%ぐらいである。
不法滞在者の強制送還には、航空運賃代を所持していない場合、国が立て替えるということになっているようだが、日本でもこのことが問題になっており、ヨーロッパ主要国では、共同便で中国や東ヨーロッパの不法滞在者を強制送還することを決定した(7月の内相閣僚会議)。入国審査や不法滞在者取締を強化するとともに、今後は5カ国が合理的かつ経済的にまとめて本国に送還することになる。

-「業務上過失致死傷罪」刑法211条

  近年、南米出身者の交通事故が増えており、加害者である場合、無免許・無保険であるだけではなく、事故現場で負傷者の救助も行わず逃げることが多い。飲酒運転の場合には殆どのケースでひき逃げ事件になってしまい、逮捕・起訴されると道路交通法だけではなく、刑法の「業務上過失致死傷罪(211条)」も適用される。その過失が重大だと最高刑である懲役5年になるが、あまりにも悪質である場合は、208条ノ2の「危険運転致死傷罪(最高刑懲役15年)」を適用して厳しく罰せられる。加害者が無保険だと被害者に対する損害賠償は皆無に近く、車の修理や怪我の治療費、後遺症が残った場合の賠償代も支払われていないのである。

-パンアメリカン日系人大会、カナダで開催
  カナダのバンクーバーで7月の7日から9日、三日間に渡って二年ごとに開催されているパンアメリカン日系人大会が開催された。基調講演や分科会での発表会、イベントや視察等が盛り込まれ、戦前、戦時中、そして戦後のカナダ日系人移民の苦難等が紹介されている資料館等も訪れた。

アメリカへの移民と共通している部分が多いが、当初の日本人移民は一定の地域で一定の業種に集中してしまうことが多かったため、こうしたコミュニティー形成が地元住民と政府との摩擦や不理解を助長してしまい、米国などの国際的な戦略に翻弄されながら一世や一部の二世たちはそれまでに築いた財産と社会的地位を全て失い、政府の収容所に強制移住されたのである。二世たちの中には志願して軍に入隊し、カナダ人であるということを命に替えて証明しようとした。両親の祖国と戦争になったことは大変辛い経験だったに違いない。戦後、ある程度社会的にも余裕ができ、戦時中の屈辱をはらすため政府に働きかけ裁判も起こした。80年代末にはカナダ政府の謝罪と賠償が行われ、暗い歴史の一ページを閉じたのである。こうした経緯もあって、カナダの日系社会8万5千人の多くはもうほとんど日本語を理解しておらず、地元社会に完全に定着していると言える。が、ここ20年ぐらいの間に様々なきっかけで約1万5千ぐらいの日本人がカナダに定住しており、「新一世」とも呼ばれているが、商業やサービス部門での事業で活躍している。

-二重国籍にはデメリットもある

  二重国籍というと誰もがそのメリットを強調しがちだが、デメリットや不都合というのも実際は存在する。海外で生まれた日系人の中にも、産まれたすぐ後に親が日本領事館に国籍留保手続きを行っていればほぼ自動的に日本国籍を取得することになり、来日する際も「日本人」として渡航することができる。トランジットビザも要らずほぼどこの国の国際空港でもスムーズに上陸、通過することができる。日本に在住する日系人就労者の中にも多数の二重国籍者が存在すると考えられるが、その実態を把握することはかなり困難である(アルゼンチンやパラグアイ、ボリビアに関しては来日日系人の約1割近くは「日本人」として来日にしているとされており、ブラジルやペルーの場合、2?3%ぐらいであるとされている)。また、近年は定住化を決めた日系人の中には帰化して日本人になっている者も増えている。

  問題は、国籍留保手続きをしたときに「日本人の名前」でしており、現地の名前と異なっている場合である。日本を「日本人」として生活の拠点にするようになると、子供が産まれても「本国」の領事館に出生登録するにも父親の名前が日本名であって、母国で記録されている名前ではないのである。また、日本と本国との間で遺産相続や離婚による財産分与、子供の親権や養育費請求等、民事・家事関係の事件が発生すると、その二重国籍者の身分と国籍に違いが出るため同じ人物であることを立証することから始まるのである。

  最近は、帰化する際、帰化が許可されると新規戸籍にはそれまで取得していた国籍と名前をカタカナとローマ字で表記してもらうことを法務省に申請することでクリアすることもできるが、そうでない場合は、家庭裁判所に氏の変更・名変更の調停を申し立てて「名前の部分を統一」することもできる(日系人の場合はファミリーネーム(氏)は日本人であるのでまったく問題ないが、名の部分が現地のものであるため、それに統一することがこうした調停の申し立てである)。

  いずれにしても、日本に住みながら本国にも土地や他の資産があり、その運用や処分する場合、こうした不都合も発生すると言うことを認識すべきである。

-バイクの売買と名義変更

日系人の中でも車だけではなくバイクの売買が良く行われ、個人取引であるため名義変更手続きがきちんと行われていないことが良くあると指摘されている。交通違反や事故が発生すると手続きが行われていないことが発覚し、事故の場合は責任の追及や損害賠償の請求にも支障をきたすことがある。そう難しい手続きではないが、特に売る方の意識に問題があることが多く、改善しなければならない。

-日系人の送金と投資

米州開発銀行は、日本在住のペルー日系人出稼ぎ者の送金の一部を投資目的のために活用する事業を開始した。年間3億ドルとも言われている資金をペルーでの起業に役立て、本国へ帰国したときには投資の見返りとして一定の収入も確保できるという試みである。しかし、数年前ブラジル日系人のために行ったプログラムは失敗に終わり、予定していた目的は果たせなかったのである。本国に投資するには、投資目的になる事業の精密な情報収集やコンサルティング業務が重要で、その後の運営に当たる人材も高度な教育を受けている必要がある。リスクの高い市場での投資とビジネスはそう簡単ではない。リターンを得ることはもっと難しいことである。
  (財)海外日系人協会が発行している「日系人ニュース」7月号の「出稼ぎから定住の途」という記事に千葉大学大学院の手塚教授は、この送金と送金の有効活用について、「金融側は送金のスムーズさと安いアクセスの設定を課題としたが、私は、この送金が、日本での、失業、労災、年金などの保障のない厳しい労働の結果であること、その結果は膨大な送金額として評価できるにせよ、次の職業上の発展に結びつかなければ、結局、日本で、不安定なままで、永住、定住せざるを得ず、帰国するにせよ、永住するにせよ、職業上のキャリアや技術を持つことができるかに、かかっているとの報告を( IDB総会の際行われた「移住と送金に関するセミナー」)行った」、という指摘を行っている。

定住化しつつある日系人就労者たちは、家族への送金も重要であるが、日本での定住や日本での家庭形成が進む中、限られた財源は自分のスキルアップや子供の教育に使うべきであって、リターンが非常に不明な事業にはもっと慎重に行動すべきである。

-実現薄いバイリンガル教育

定住化する日系人就労者の家族も増え、その子弟への教育ニーズの中には母語教育(ポルトガル語やスペイン語での教育)がいる。以前中南米諸国に移民した日本人たちが子弟に日本語教育を受けさせたように、今日本で生活している日系人たちはスペイン語やポルトガル語教育にも関心が高く、一部の地域では私塾が開催され中にはほぼ学校としての機能も持ちつつものもある。全国にブラジル学校が50校以上あり、スペイン語が5校ぐらいだとされている。しかし、メインの教育は正規の日本の学校でなければならないにも拘わらず、ブラジル人子弟の3割(学齢期に達している3万人の内1万人)が不就学・未就学状態になっている。日本の教育環境に適応しないことや学校でのいじめなど理由は様々であるが、子弟の親御さんたちの意識と認識の低さがもっとも大きな問題だと指摘せねばならない。日本での出稼ぎを安易に思い、子供の教育をも含めた人生設計やその覚悟がみられないため、子供への理解も愛情も不十分で、何か問題が発生すると「ブラジル学校に入れる、又はどうせブラジルに帰るのだから」と言って対応してしまう側面が問題を複雑にしている。こうした私塾は青少年の非行防止策の役割も担っていることも否定できず、社会的な役割は果たしていると言えるが、学校としての教育機関の役割は到底不十分であり、日本での高等教育進学にも本国での編入にも例外を除けばあまり役に立っていないのが現状である。

-日本語の指導が必要な外国人児童・生徒.

文部科学省の「公立小中高等学校での日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入状況に関する調査(平成16年度)」によると、全国に約2万人の児童生徒がいて1万3千人が小学校、5千人が中学校、そして千二百人が高校に在学しているが、これらが5千校以上にいるのである。また、最近中学での指導ニーズが高まっていることも特徴的であるが、実際指導を受けているのは全体の84%に当たるようだ。出稼ぎ者の子弟の影響か、在籍期間2年以上が全体の44%であるが、6ヶ月未満の短期在籍者が増えていることも指導事業の難しさを物語っている。母語別で、最も多いのがポルトガル語(ブラジル出身者)で7千人(全体の35%)、中国語が4千6百人(23%)、そしてスペイン語が約3千人(15%)であるが、他にフィリピン語やベトナム語出身へのニーズも高く、実際は58言語の児童生徒が存在するのである。 都道府県別でみると、ブラジル日系人が多い愛知県の3千人がトップで、その次に神奈川県、静岡県、東京都、大阪府、千葉県等である。市町村単独の事業もあるが、政府の施策として、「担当教員の研修」、「指導協力者の配置」、「就学・教育相談窓口の設置」、「母語相談員の派遣」、「保護者用のガイドブックの作成と配布」等々である。

-“バイリンガル”と称する日系人子弟

日系人就労者が定着する一方、その子供たちの中には義務教育のほぼすべてを日本で受けている者も増えてきており、一部は高校にも進学して中には大学にも行くようになった。しかし、全体として中卒、高校中退が大半で小学校の一部を本国で受講した子がまだ多いと言える。親とのコミュニケーションや日常会話は母語(スペイン語若しくはポルトガル語)で行うのが常であり、多少日本語も交えることがある。ほとんどが日本語の方が「母語」になりつつあり、日本で生活する以上日本語でのコミュニケーションがメインになってくる。

  こうした若者が最近各地で「通訳」の仕事もするようになり、自治体が開催するイベントや交流会でもその存在が目立つようになったのである。しかし、「ネィティブスピーカー」というふうに紹介されても肝心の母国語の能力も乏しく、日本語も中途半端であり、ちょっと難しい表現や文書は把握できないと言う。また、理解できてもそれをスペイン語に「通訳」できないのである。母語でのボキャブラリー力が完全に不足しており、母国に置いての関連知識(歴史、地理、社会、習慣、伝統等)もほとんどないという。また日本に対する理解度も十分とは言えず、就職や職業上のスキルアップにはもっと基礎を固めねばならないと、教育関係者は警鐘している。せめて高校をきちんと卒業し、短大か専門学校に進学し、日本の社会常識等ももっと理解することが必要である。

  愛知万博のような国際的なイベントにもこうした日系人の「通訳」が多数雇われたが、あまりにもレベルがひどいということで一回限りで姿を消した者も多数いる。今後はこうした「ネイティブ」はもう雇わないとされており、他の仲間への影響も出始めている。数少ないチャンスを無駄にしてしまったのである。もちろん、こうした人材を紹介・派遣した企業に一番の責任があるが、引き受けた「ネイティブ日系人」にも自覚の無さが目立つ。

通訳になるためには、学歴だけでは不十分で調整能力や知識豊富に基づくコミュニケーション能力が要求される。言葉の置き換えですまされるものではなく、相手が伝えたいメッセージや気持ちも時には伝えなければならない。時には別の言語や文化圏には存在しないことも伝えなければならないのである。意訳するだけではなく、適切な説明を入れながら相手に通訳しなければならないこともある。日本人の大学生たちは、スペイン語の通訳になるためにスペインや中南米諸国で数年勉強を重ね、中には現地法人で仕事の経験もし、とにかく勉強するのである。日本国内でも語学学校や通訳訓練学校に通い、とにかく通訳のノウハウを身につけることに必死である。できる仕事からスタートし、地道にステップアップするのである。 現在は、大学院レベルでもこうした通訳者育成コースもでき、技術的なことも含めて高度な教育を受けることができるようになった。また、私立の訓練学校も存在する(ISS通訳研修センターや日西翻訳研究塾等)。それでも、バイリンガルになるまではかなりの年月と経験が必要で、市場から認められるのはほんの一部だけである。

スペイン語情報誌「MUSAHI 」No 49 2005年8月-12月号
c J.Alberto Matsumoto-IDEA NETWORK


 
 
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