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5年ぶりのアルゼンチン 第2部

 

松本 J.アルベルト (社団法人日本アルゼンチン協会会報33号2001/7月号に掲載)

今回、ブエノスでは3つの大学で講演する機会を与えられた。UADE-Universidad Argentina de Empresa (経営や人事の実務専門家の育成に力を入れている大学)、UCES-Universidad de Ciencias Empresariales y Sociales, CCedra Asia Pac断ico、そして母校の Universidad del Salvadorで日本の労働市場やビジネスチャンス、日本のグローバリゼーション等について講義させてもらい、学生や教授陣たちと活発な意見交換を行った。UCESでは、日本に留学経験のあるOBや日本からアルゼンチンに留学している学生たちとも会い有意義な時間を過ごした。

また、今回は、ペルーにも5日間行って来た。リマの日系人法律事務所の招待によってはじめてこの国を訪れた。ここでは、日系人団体との交流や意見交換が主な活動であったが、その間、友人のはからいでUniversidad Nacional Mayor de San Marcos の経済学部で講演することに恵まれた。ここでも日本の労働市場とペルー人の状況について講義したが、政情を反映してか日本への移住について多数の質問を受けてしまった。

ペルー日系人協会主催の講演では、日本に出稼ぎに来ている日系人たちの諸問題についての依頼であったが、団体の幹部や関係者たちは同国人たちの日本での適応やトラブルについて非常に懸念されていた。しかし、これだけ多くの日系人が日本に来てしまったことで今は団体の運営自体が困難になってきていることがうかがえた。  アルゼンチンでも、亜国日系センター(Centro Nikkei Argentino)で意見交換を行ったが、やはり、これからの存続をどのようにしたらよいか、日系社会やアルゼンチン社会に何をどのように提供したらいいのか、日本との交流をどのように勧めたらアルゼンチンでも評価されるのか、議論の温度差はあってもペルーと同じであった。

世代交代が進んでいる日系社会では、日本語学校の存在も危ぶまれており、地域によってはほとんど閉鎖状態になっている。私が勉強したエスコバール校は、以前はもっとも日本語教育に熱心だった学校であったが、今はほとんど学生がいない状態で週一日しか講義が行われていない寂しい状態であった。時代の変化、二世や三世の混血化、意識の変化等によって日本語というものに関心が薄れているが、それは、日本の国としての国際的な存在、海外に進出している日系企業への評価、また、こうした企業でのあまりにも限定された活動等が多いに影響している。多くの日系人は、日本や日本文化、日本語への想いは理解しつつも、やはり子供たちの将来を考えると英語教育か別の専門知識を優先せざるを得ない状況が実情である。

しかし、その一方、非日系人の日本語受講生が少なからず増えているのである。ブエノスの日本語学校でも韓国系の二世の存在が目立っており、タンゴなど日本との文化芸能交流に関わっているアルゼンチンの一部の若者たちは日本語の集中的コースに熱中しているらしい。後者は、日本での公演の際に少しでも有利な立場で、東京などのタンゴ教室で講師として雇ってもらうために会話を中心に勉強しているのだ。目標がはっきりしているだけに、したたかであっても多いに両国の交流に役立っているようだ。余談であるが、ブエノスで新たなタンゴスポットがある。外国人観光客がほとんどいなく地元の方が多いので値段もデイナー込みで30ドルぐらいでエンジョイできる。San Juan と Boedo大通りの角で「Esquina Homero Manzi」というタンゴ・レストランである。メニューも豊富で、ゆっくりメインの食事を済ませてからデザートとともに22時のショーを鑑賞するのも悪くないように思えた。

アルゼンチンも多くの問題を抱えながらも変化しており、前に進んでいるような気がする(地元の大半はそう思っていないし、そう実感できないようである)。こうした新しい環境の中、日本も、長期的な目標や戦略をもって関係を築いていかなければならない。アルゼンチンは日本が持っていないものを数多くもっている。世界経済の動向にもよるが、また、危機的な状況が発生したときには、日露戦争や第2次世界大戦の時のように利害関係を越えて pa痴 amigo として答えてくれる国で有り続けてほしいからだ。

松本 J. アルベルト 合資会社イデア・ネットワーク 代表取締役 日本アルゼンチン協会 理事

 
 
 
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