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5年ぶりのアルゼンチン 第1部

松本 J.アルベルト (社団法人日本アルゼンチン協会会報33号2001/7月号に掲載

留学を機に来日して11年目になるが、5年ぶりに里帰りをした。前回は、現地で結婚式を挙げるためであったため、あまりゆっくり社会の変化を観察することもできなかった。

しかし、今回は、南米一の「花祭り」で有名なエスコバールという町に住んでいる両親や友人をはじめ、大学や企業団体の関係者、日系人社会のリーダーたち等広範囲に渡っていろいろな人たちと会ってきた。

この5年でアルゼンチンはかなり変わったといえる。メネム政権下で実施された多くの改革(民営化や規制緩和)によって、新しい事業や産業が成長している一方、他方で、多くの企業が倒産してしまい、予想以上に失業問題が悪化している。以前から、大学を卒業しても専門分野の職に就くということはかなり困難であったが、行政改革や公社の民営化でリストラにあった公務員や専門家たち、ブラジルの通貨下落で競争力を失って倒産した輸出産業主に中小企業の従業員たちへの新しい受け皿はあまりにも不十分であったことを裏付けている。今は、自分の専門を断念してイタリアやスペイン、アメリカへの「移民」を選択しているものが増えている。しかし、その一方、毎日のように夜行バスがパラグアイやボリビア、ペルーから出稼ぎ者を乗せてブエノス・アイレスに到着するのである。失業率は高いが(17%)、3Kの仕事(建設、農業等)は隣国の出稼ぎ者に頼らなければならないような構造になってきている。レタスやトマト、茄子やビーマン等食卓に欠かせない野菜の多くはボリビアからの移民が栽培しており、地域によっては生産者組合を設立して取引市場まで運営しているのである。  

また、ここ数年経済の成長が順調であるスペインは、アルゼンチンに対して、子持ち夫婦の移住を呼びかけている。条件は、一定の年数、スペインの過疎地帯に定住することであり、子供たちを地元の小学校に行かすことである。仕事も地元の役場や商工会議所が世話し、間接的には地域の少子化と高齢化対策の一環であると関係者は話している。こうした状況の中でも、タクシーやハイヤー(現地では、remise「レミスと呼ぶ」)、一般ホテルや飲食店(ビザレストラン、バー、牛肉バーベキューのパリージャ)等のサービスのレベル向上が目立つ。Florida通りや中心部の高級店でなくとも、どこでも一般客へのサービスがかなり良くなっていることが印象に残った。失業率が高いということもあって、職を大事にするようになったという側面もあるようだが、プライドの高いアルゼンチン人が苦手な接客業務にあれだけ力を入れているということは、ブラジルやチリに対しての対抗意識(ライバルとしての良きパートナーを目指したいという願望で昔のようなマイナス的なものではない)と新しい世代の意識改革の成果ではないかと推測する。

また、まだ不十分とはいえ各行政関係の情報もかなり充実しており、以前は何時間も行列するか役人に賄賂を渡して入手するしかなかったものも今はインターネットで数分以内に誰もがアクセスできる。役所での手続き自体はまだ改善の余地はあるが、ここ数年ほんとうに情報公開が進んだように思える。制度的にも、カバロ経済大臣が行ってきた財政、金融等の政策がようやく実ってきており、再度経済相として就任された、このデラ・ルア政権内でも多いに活躍が期待されている。今の状況にあった軌道修正や輸出産業の育成が急務とされているが(6月15日、貿易促進措置としてユーロとドルの平均レートを採用)、あまりにも思い累積債務の負担と(GNPの50%に相当し、利払いが国家予算の2割ぐらい)脱税等や様々な構造的な障害がまだ多いため、国としても思うように財源を各優先課題に当てられないのが現状のようである。そのうえ、ドルとペソの兌換制度への風当たりは強く、市内のほとんどの書店で、この仕組みの問題点を指摘したり批判する著書が目立っている。  

残念ながら、前政権と違って大統領の統治能力が問題視されており、連立もほどんど機能していないことが社会不安や治安を悪化させているという見方が強い。

松本 J. アルベルト 合資会社イデア・ネットワーク 代表取締役 (社)日本アルゼンチン協会 理事

5年ぶりのアルゼンチン 第2部

 
 
 
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