アルゼンチン、中南米と日本
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亜国のオーガニック商品が紹介された これからの可能性を見込んで?

(社)日本アルゼンチン協会会報「Argentina」第39号、2003年1月

12月の5日から7日に開催された「第2回自然の恵みフェアBioFach Japan(日経新聞社主催)」では、アルゼンチンのオーガニック商品(注1)が数多く紹介された。ワインからオリーブオイル、濃縮ジュース、砂糖、蜂蜜、ジャム、にんにく、乾燥フルーツ、豆/穀類、マテ茶等21社の商品が展示された。

また、このために来日した亜国認証協会CAPOCのSALA氏と有機食品生産者輸出グループOrganAr等他二人が「アルゼンチンの有機生産ーその現状と未来」について講演した(亜国大使館商務部主催)。

このフェアは東京ビックサイトの施設で行われ、国内から51社・団体、海外17カ国から121社・団体が出展した。3日間で業界関係者14.000が来場した。

消費市場が成熟した日本の市場では、近年の輸入食品の安全性トラブルや遺伝子組み替え食品等の問題によって、健康と自然志向の意識が高まり有機や無農薬食品への関心が高まっている。こうしたフェアには食品流通・加工業者、商社、スーパー、食材卸売業者等が一度に集まる場所なのである。このフェアのため、ジェトロは対象国の協力を得て昨年8月?9月に南米9カ国(アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、チリ、ブラジル、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア)の有機認証制度の調査と製品サンプルの収集を行った。有機食品専門家の山口ジュリア氏と丸山豊氏(前者はJOIA日本オーガニック検査員協会の国際委員で後者は同協会の理事)を派遣し、各国で調査を行った。この調査の結果発表は、フェアでも6日に行われた。アルゼンチンでも日本のJAS認証制度のセミナーが開催され、380人の関係者が会場に集まったとされている。今の経済情勢を反映して輸出に関心が高まっていることを表している。調査団はワインやオリーブオイルが製造されているメンドーサ州も訪れている。

アルゼンチンは、南米でもいち早く有機認証制度の法体系を整備しておりもっとも輸出が多いヨーロッパの制度と同等の仕組みを採用している。EUの制度を受け入れる国には第三国の地位をもって輸出が出来るようになっている。しかし日本に有機の表示で輸出するためにはJASを取得するしかないのである。現時点では、ワインを製造しているZuccardiというワイナリーしか取得していない。ただ、亜国の場合、ハーブやジャム等のような商品は有機でなくともそれに近いナチュラルという意味で輸出が十分に可能だという指摘もある。JAS取得には専門のコンサルタント(認定取得の手続きする業者)を契約する費用や日本の審査官の現場検証にかかる費用等が必要になる。市場性と経済要素を十分に検討しない限りかなり難しい側面もある。また、オーガニックと表示されていても一般の消費者が大量に購入するものでもないのである。日本でも、有機野菜や果物なんかはかなり割高であり、高所得者向けの意味合いが強い。最近、外食産業等でも時限的に有機食材によるメニューも出されるようになりオーガニックの認知度が高くなってきているのは実状であるが、間違いなく売れるという保障はないである。

アルゼンチンの有機食品と日本での可能性

国の認定制度が機能しており、EUの認定基準と同等なので日本のJAS取得は十分可能であると考えられている。現在、農林水産省と協議中である。また、広大な土地、多様な気候と自然環境が恵まれているため、アルゼンチンはもっとも有機栽培や有機食品に適している環境が整っている国である。現在、22万5千ヘクタールの農地と300万ヘクタールの牧場地が有機用である。穀類が65%、加工食品が27%で生鮮野菜と果物が7%を占めている。認定されている生産者は1.664社又は個人事業主であり、生産の85%が輸出されている。その8割がヨーロッパ向けである(輸出量は3万8千トンで穀物、油製品、果物等)。

日本への輸出品目として可能性が最も高いのはワイン、オリーブオイル、ハーブ、ジャム、蜂蜜等であるという専門家のアドバイスもある。しかし、JAS取得なしではこの付加価値を示すことはできない。

アルゼンチンの輸出業者の多くはペソが下落し国内の物価が安くなったことで対外取引が有利になったということを強調するが、有機商品をも含めて日本の市場をビジネスチャンスとしてみるにはかなりの営業努力(市場調査、認定基準取得、関心を示してくれるパートナー等)が必要であり、そう簡単に進出できる市場ではない。今回のような試みは互いに情報交換と貿易拡大のきっかけになったには違いないが、実際、店舗にアルゼンチンのオーガニック商品が列ぶにはまだ時間がかかりそうである。

一方、日本もこうした有機商品市場開拓を機会に自国の農業政策や食料安全保障とうい観点から食糧問題をもっと真剣に取り組んでいく必要がある。先進国ではもっとも自給率が低い国とされ多くの食材や加工食品は海外(主に中国や東南アジア諸国)に依存しているのが現状である(生産上やむを得ない部分もあり必要であることも否定できない)。しかし、こうした供給国の経済は確実に成長しており消費力及び購買力も拡大している。中国でさえ、商品によっては輸出国から輸入国になる可能性が十分にあり、近年中南米の農場や牧場を購入していると報告されている(ほとんどの場合、現地法人や架橋のネットワークを通じて間接的に広大な土地を確保しているようである)。日本も、もっと世界的な戦略ももって自国の自給率を高めると共にアルゼンチンのような農業国と緊密な食料供給に対する協力関係の構築や何らかの形で農地確保をも検討する時期にきているのかも知れない。

アルベルト 松本 (当協会理事)

写真1: フェア内の「JETRO南米オーガニックランド」ブース

写真2:ジェトロが作成したパンフレットには調査対象国の有機食品及び事業所のデータが掲載されている。 (写真提供:アルベルト松本)

注1)有機食品とは、農薬、化学肥料、ホルモン類、抗生物資等を使わずに育てた農産物や畜産物、そしてそれらを原料とし、同時に食品添加物を使わずに製造した加工食品類を「有機食品」と称されているが、「有機JASマーク」を付けられるのはJAS法の基準をクリアしたものだけである。

追伸:ジェトロ貿易開発部対日輸出課の山本氏、山田氏に取材協力をいただいので心から感謝する。問い合わせ先:03-3582-5575

 
 
 
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